対談/vol.21

しょくスポ対談

vol.21 島田 律子さん

今回の対談コーナーにご登場くださったのは、タレントであり、日本酒スタイリストでもある島田律子さんです。人気番組「恋のから騒ぎ」でMVPを受賞される程お話しが上手で、かつ美しい島田さんに魅力を感じ、ファンになられた方も多いのではないでしょうか。ただ、それだけではありません!女性として、母として、日本酒スタイリストとしても魅力満載です!ぜひ皆さんご覧ください!

  島田 律子(しまだ りつこ)


 タレント
 日本酒スタイリスト
 (日本酒造組合中央会承認)国内に4名
 エッセイスト
 夫婦カウンセラー(JADP認定)
 メンタル心理カウンセラー(JADP認定)
 温泉ソムリエ(温泉ソムリエ認定)
 テレビ、ラジオ、映画、雑誌など、多数出演。

 ☆オフィシャルHP
 ☆オフィシャルブログ
 ※プロフィールは対談公開時(2012年12月)
 のものとなります。

これまでの歩み

― 島田さんのお仕事内容をお聞かせ頂けますでしょうか?
タレント、日本酒スタイリスト、エッセイストをやらせて頂いております。
― ご経歴について教えてください。
前職では、日本航空のキャビンアテンダント(CA)をやっておりました。時差の調整などが大変なこともあり、5年半勤務し、退職しました。
CAは、優秀な方が多い中で、私は特に手に職がなかったんです。当時は、ワープロやパソコンにも触ったことがなく、事務職に就くこともできないと思い、サービス業に目を向けました。しかし、どのように仕事先を広げていこうか悩んでいたんです。そんな中、1月下旬にニューヨークへフライトした際、あまりにも現地が寒くて、私の中で気持ちが壊れてしまったんです。そこで、「辞める」と決意しました。帰国後、上司に辞意を伝え、3月いっぱいで辞めることになりました。
今でも鮮明に覚えていますが、3月6日のフライトが終わり、4日間ほど家で落ち込んでいました。3月10日に、友人から、テレビ番組「あっぱれさんま大先生」の大人バージョンが始まる情報を教えてもらったんです。「恋のから騒ぎ」です。その出演者を、一般の人から募っているとのことで、友人に勧められたんです。ものすごく落ち込んでいた時だったので、あまり深く考えずに、オーディションを受けることを決めました。
― かなりの倍率だったのではないでしょうか。
そうかもしれません。オーディションを受けに来ていた方は、タレントの卵のような方が多く、どこにも所属していない私のような人は少なかったので、受かることができたのではと思っています。
― オーディション合格後は、どのような流れだったのですか?
3月中旬から、さっそく撮影が始まり、4月から放送されました。前職の退職と「恋のから騒ぎ」は間髪いれずのタイミングでしたので、ご縁があったんだと思います。
― CAもタレント業も多くの方が憧れる職業のひとつですよね。
私も、CAに憧れていた部分はありました。高校時代に交換留学生として、オーストラリアに1年間行ったのがきっかけで、習得した英語を活かせるような仕事を考えていました。その選択肢の一つの職業としてCAがあったんです。友人に誘われて、一緒に就職試験を受けたのがきっかけです。

タレントとして感じること

― タレント業については、どのように取り組まれてきたのですか。
テレビの影響力の大きさを感じました。当時は、今のように、素人がテレビに出ることは少なかったので、街を歩いていても、「恋のから騒ぎに出ている人だ」と声をかけられることもありました。テレビに出たことでの戸惑いを感じるようにもなりました。その中で、他の職業への再就職活動が気持ち的に出来なくなってしまい、そのまま芸能活動を続けています。
― タレントの世界は入れ替わりも激しく、大変な世界だと思いますが、これだけ長くタレント業を続けていらっしゃれる秘訣を教えてください。
今でも迷っている部分はありますが、目をそむけていた家族との関わりを見つめ直したことが支えになっていると思います。私はそれまで、弟が自閉症という障害を持っていることに対して、背を向けてきたのではないかというコンプレックスがありました。かつては、自閉症がどういう障害なのか、理解されていない時代でした。そのコンプレックスを持ち続けたまま歩んできました。親から「不憫で苦労をかけるね」と言われても、「私は大丈夫」と心配かけないように言い続けてきました。コンプレックスとは無縁そうな、全然違う道を歩んできたんです。その中で、CAやタレント業がありました。ただ、内心ではこの仕事をやっていていいのだろうか、という思いがすごくありました。20代後半になってくると、社会経験を積んで壁にぶち当たり、私はダメだと思ったり、周りの大人がすごくキラキラして見えたりしました。自分一人で、私なんかダメな人間なんだと思ったり、周りに気を遣うようになっていったんです。芸能界が不安定な職業ということもあり、このままでは私は大人になりきれない、幸せにもなれないなと思ったんです。いろいろ考える中で、その根本にあるのがコンプレックスだと感じました。弟のことと向き合わず、親にもその思いを話せずにいた部分だと…。 それから、ワープロで自分のことを振り返りながら、書き留め始めるようになったんです。一人カウンセリングのようなことをしていましたね。そうすると、すごく自分のことについてわかるようになっていったんです。
― どのようなことに気付かれたのですか。
私の中で、自閉症に対する無理解を社会のせいにしていたことです。隠すことなく、情報を発信していかなければ、理解して欲しいと思っても無理だということに気付いたんです。せっかくこういう仕事をしているので、その意味を考え、使命感の中で、本にしてみようと思いました。ちょうど30歳位の時でした。大人になりきれず、壁にぶち当たったり、心にひずみが出ていた頃です。親にも言えなかった気持ちを本にすることにしました。そこで漸く、なぜこの業界にいるのか、その意味が見えてきた気がしたんです。
― 自分を深く見つめ直すことで、ご自分の価値を再確認され、自信を取り戻されていったのですね。現在のお仕事の中で、嬉しかったことは何ですか。
弟のことで講演に呼んで頂き、姉弟の立場で話をさせて頂けた事です。専門家とは違った視点で、姉弟だからこそ抱えている気持ちを伝える機会を頂いています。私と同じように、その辛さについて声を大にして言えず、いろんなものを抱え込んでしまっている方が多いことにも気付きました。親が大変なのは、一般的に理解してもらいやすいですが、きょうだいに対しては目を向けられることがあまりありません。その悩みを話すことで、講演後に同じ悩みを抱えた方が晴れやかな顔で帰られたり、救われましたと声かけて頂くこともあります。「私は大丈夫」と無理に鎧をかぶっているきょうだいの方も多く、プレッシャーや悩みを抱えていることも辛いことなので、そういう方々が楽になったと言ってもらえると嬉しいですね。

日本酒スタイリストから見た、日本酒の魅力

― ところで、島田さんと私の出会いは「日本酒」ですよね。こういうとかなり“酒好き”に聞こえますが(笑)、日本酒はお好きですか?
もちろん、大好きです(笑)。
― 日本酒を飲まれるだけでなく、日本酒にまつわる活動もいろいろなさっているんですよね。日本酒スタイリストになったきっかけは何ですか?
まずは、もともとお酒が好きなんです。ワインブームの時には、ワインコーディネーターの資格を取りました。その後、日本酒を飲む機会も増えてきて、ちょうどその時、利き酒師の資格を取って頂けませんかとお話を頂きました。そのお誘いがきっかけで、勉強し、日本酒の味や作り方を学ぶようになりました。その後、日本酒造組合の方にお声がけ頂き、日本酒スタイリストになりました。
― ご自身で飲むことによって、日本酒の良さを実感され、その良さをいろんな方にPRされているのですね。
歳を重ねていくごとに、日本酒が好きになってきました。体に優しく、合っていると感じます。そして、何よりも、美味しいです。どのお料理とも会いますし。これからの季節は、熱燗も美味しいですよ。
― ラベルをみれば、どのようなお料理が合うか分かりますか?
ラベルは、お酒の証明書ですから、それを見ればある程度の情報は得られますが、飲んでみると意外な味と思うものもあります。それが、日本酒の面白い部分ですね。蔵によって作り方や考え方も違うので、一期一会だと思いますし、それを感じながら飲むと感動します。去年との味の違いに気付いたりすることもありますし、新しい発見や喜びがあるのは面白いです。そうやって、どんなお料理と合うか考えるのが楽しいです。
― 日本酒を使ったオリジナルカクテル作りへのイメージはどのように膨らむのですか
日本酒はクセがあまりないので、割りやすいです。純米酒のような個性があるもの、乳酸のような個性が出てくるものは、ヨーグルトドリンクと合うかななど、楽しみながら、イメージを膨らませています。
― 日本酒スタイリストとして、日本酒の魅力を一言で表現すると?
日本酒は、日本の美味しいお米と美味しいお水からできた、世界に誇る国酒です。まさに、日本の伝統文化の賜物です。そんな日本酒の持つ力は、すごく大きいですよね。お酒は仲間と飲んだり、美味しいお料理と一緒に飲むものです。そして、人生を豊かにしてくれるとも思います。それがあることで、次の日にまた頑張れたりしますよね。ストレスを和らげてくれることもあり、普段出来ないような話が出来たり、年代を超えて会話ができたり、世界が広がるので素敵なものだと思います。
― 日本酒は日本文化との関わりも深いですしね。
そうですね。日本酒の事をあまりご存知なかった方にもご紹介でき、分かち合えることは嬉しいです。今後も伝え残していかなければと思います。私が伝えることで、誰かに喜んでもらえたり、元気になってもらえたりすることが出来、私自身の喜びにも繋がっています。
― 人が喜んでくれる姿を見て、島田さんご自身の喜びになっているのですね。
はい。パワーを頂いてます。

ポジティブ思考と笑顔を心がけて

― 喜びをパスしあっているということですよね。逆に、つらかったことはありますか。
仕事が不安定で、来年私はどうなっているのだろうかと考えがちなことです。それでも、段々と乗り越えられるようにはなりました。ポジティブシンキングになれたと思います。昔は、ちょっとしたことでめげていたこともありました。でも、めげていても良いものは生まれないですし、福は、笑顔のあるところに集まることに気付き、それが出来るようになってきたんです。仕事が不安定なのは不安ではあるけれども、考えても仕方がない部分はあります。どの仕事でも同じことが言えると思いますが、タレントも、全て自分がやりたいことだけをやっていればよい訳ではないんです。でもそんな時でも、弟や日本酒のことなども含め、私自身を身近に思ってくれたらこれ以上の喜びはないです。なので、自分がやりたい仕事ばかりでない時でも、ありがたいと思ってやらせて頂いてます。
― ポジティブ思考なんですね。お付き合いさせて頂く中で、いつも島田さんの周りには笑顔の方が多いと感じます。笑いのあるところには、笑顔が集まると言われますが、本当なんですね。
島田さんは、食について心がけてらっしゃることはありますか。
私は頑張りすぎることが出来ないので、栄養バランスを考えたものばかりを食べている訳ではありません。でも、CAの時に体調を崩したことがあり、何を口にすべきかということを意識するようにはなりました。さらに大きなきっかけになったのは、子どもができたことです。私の栄養だけで、こんなに大きくなるんだと思うと衝撃でした。最初は母乳が中心でしたので、母乳だけで、すくすく育っていきますからね。その時に、子どもにとって何が良い食べ物かを考え、食べるようになりました。それと同時に私は高齢出産だったので、体の変わり目になっていたため、食べ物にも気をつけていかなければと思うようになりました。

美と健康を維持するための工夫

― 多くの方が気になると思うのですが、島田さんが「美」を保つために取組まれていることを教えてください。
子どもがいるので、なかなか睡眠を十分に取れないので、他の部分で補うようにしています。食事に加え、運動も心がけています。子どもが出来る前は、週3回ジムに行っていたこともありましたが、今は同じようにはできないので、工夫しています。子どもをあやしながらフラフープをしたり、電動自転車のバッテリーをあえて抜いて使用したりしています。電源を入れていない電動自転車は重い上、子どもの体重が上乗せされるので、かなりの負荷になります。保育園の送り迎えは坂もあり大変ですが、その自転車で意識的に運動しています。あとは、エレベーターを使わずに歩いたり、走ることも手軽なので、取り入れています。少しでも時間が空いたら、走っています。
― さすがですね!!1回にどのくらい走るのですか。
5km位ですかね。緑道を走るのですが、どの時間帯でも、必ずランナーの方がいるのには驚きです。みなさん、こんなに健康に気を遣っているんだということが分かり、良い刺激になっています。
― お肌がとてもきれいですが、顔のお手入れは何かされていますか。また、島田さんのような小顔になる秘訣は?
特別な事をしているわけではありません。「見られている」という意識が働いているのかもしれません。この仕事を始めた当初は、カメラに向かって笑顔が作れなかったんです。どうしたら良い笑顔が作れるかを徐々に習得していきました。そして、その笑顔をいつもキープできるように鍛えようと心掛けてきました。笑顔っていいですからね。笑顔にしていると、顔全体が引き上がり、クッと笑えば顎もシャープになるので、顔も筋肉をつけることが大事なのかもしれません。
また、楽しい気持ちでいるから笑顔になれますし、笑顔でいるから気持ちもより前向きになれるのがいいですよね。筋肉が上がるような笑顔を作ると、気持ちも前向きになれますよね。

みんなと共に、元気で楽しく過ごしていきたい

― 同感です。私たちの活動も「笑顔」をキーワードにしています。
先程、お子さんの話題が出てきましたが、子育てを通じて、人間性に膨らみ・幅が出てきたのではないでしょうか。
そうですね。子どももそうですが、主人にも感謝しています。これまで、コンプレックスが強くありましたので、一人の人とずっと向き合って生きていくことが怖かったんです。夫婦になるのは大変なこともあります。自分の全てをさらけ出さなければいけない場合もありますので、コンプレックスを抱えていた頃は、それが出来ないと思っていました。また、「母親になれるのだろうか」という不安もありました。
  やはり、本を出したことが私にとってすごく大きな転機となり、親と話が出来るようになりました。親ときちんとした関係を築けていなかったことがコンプレックスの一因でもありましたから、「律子はこんなことを考えていたのか」と気付いてもらえたことや、親の本音を聞くことが出来て良かったです。人と向き合うことはすごくエネルギーを使いますが、主人と出逢い、結婚、子どもを儲けたことは、私自身のチャレンジでもありましたし、自信にも繋がりました。歩み、積み重ねてきたことを通じ、心理的な部分を勉強し、カウンセラーという資格を取ることで、説得力やちきんとした知識のもとに、今後もお話が出来たらいいなと思っています。
― ステキですね。どの業界でも中身が骨太でないと第一線で活躍し続けられないと思います。タレント業を始められた頃は、“若さ”や“美”が最大の魅力になっていたのかもしれませんが、現在はそこに理論と実践も備わって、「鬼に金棒」ですね。
そんなことないですが、ありがとうございます。人に元気を与えられるようなことを人前でやり続けていきたいと思ってます。そういうのが好きなんです。長く続けていけたらいいですよね。
― 最後に、島田さんの今後の夢をお聞かせ下さい。
楽しくなることが好きなので、それをみなさんと分かち合っていきたいです。今後もそういうことをどんどんやっていきたいと思っています。自分が本当に楽しいことや興味があることをこれまでやってきました。インターネットや雑誌でもカウンセリングを行っているのですが、少しでも皆さんが元気になってもらえたら嬉しいです。もちろん、お酒でも良いですし、女子会を開催したり、みんなが元気になれることをもっともっとやっていきたいです。
― ぜひ頑張ってください。島田さんの益々のご活躍を期待しています。本日はどうもありがとうございました。



編集後記


島田さんとは「日本酒」のお仕事を通じて交流が始まったこともあり、ご一緒する時には「日本酒」を飲みながら…ということが多い気がします。同世代なので話も弾み、ついついお酒が進んでしまいがちです(笑)。「和らぎ水」も飲みつつ、いろんな会話を楽しませて頂ています。
常にポジティブで、笑顔の島田さん。まさに「笑う門には福来る!」を実践してらっしゃるステキな方です。これからも益々のご活躍を期待しています。また近々「日本酒で乾杯」しましょう!
☆こばた てるみ☆
 
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