対談/vol.2

しょくスポ対談

vol.2 小出 宗昭 さん

今回のゲストは、現在弊社事務所が入っている施設『SOHOしずおか』インキュベーションマネージャー、小出宗昭さんです。2003年の『スポーツ弁当プロジェクト』では、共に走り成功へと導いてくださった、とても“熱い”方です。これまで多くの方を支えてきた中で感じた、仕事に対する考えや信念、想いについて伺いしました。どんな“熱い”メッセージが飛び出すか・・・。どうぞお楽しみ下さい!

小出 宗昭(こいで むねあき)


静岡県中部地区SOHO推進協議会 SOHOしずおか インキュベーションマネージャー/関東地区新連携事業評価委員会委員/B-nest静岡市産学交流センター支援スタッフリーダー
1959年生まれ。静岡県出身。法政大学経営学部卒業後、静岡銀行に入行。支店、国際部、情報営業部(M&A担当)、経営企画部(グループ会社設立プロジェクト)勤務を経て、2001年より現職。就任以来5年間で200件以上の新規事業の立ち上げに関わる。
2005年2月「Japan Venture Award 2005」起業支援家部門 経済産業大臣表彰受賞。
著書:『あなたの起業成功させます』
    (株式会社サイビズ刊)

※プロフィールは対談公開時(2006年12月6日)の
  ものとなります。

SOHOしずおかスタートときっかけ

−まず、SOHO静岡のはじまりを教えてください。
SOHOしずおかは2001年2月1日、静岡県が施設整備をした創業支援施設です。13の部屋に起業家の方を迎え入れ育成支援をするというのがそもそもの目標。運営の責任をおっている静岡市を中心に行政に近い団体がいくつか集まり、協議会を作って運営しています。
その静岡市が、私の属する静岡銀行に対し常駐マネージャーを派遣して欲しいとオファーを出したんです。
−なるほど。
しかし静岡市は、その人材に関してある条件をつけたんです
−条件?それはどんな条件ですか?
現役の銀行員を出す』という条件です。従来型の箱物事業に対する人材の出し方は、いわゆるOBの人が通例で現役行員をだす例は余りなく、結果的に私が全国で始めての事例になったんじゃないかな。静岡市は“若手のバイタリティ”で創業支援を成功させたいという意欲があったんだと思う。ということで急遽オープン5日前、僕が人事部に呼ばれまして・・・
「えー!!」みたいな感じですよ。
−5日前!?何の前触れもなくですか?
はい、まったく。当時僕は経営企画部にいて、コンサルティング会社設立のプロジェクトを1年半ぐらいかけてやっていたんです。それがようやく出来上がりその会社に移ったばかり。さあこれから!という時で・・・。 SOHOへ出向を命ぜられた時は、「分かりました」と答える以外ありませんでした

「やばい、やばい、やばい・・・・」決して前向きには捉えてはいなかった

−今でこそ全国から注目され、全国からいろいろな方が訪ねてこられますが、最初からそんな施設ではなかったですよね?
まったくです!本当にただの『箱』でしたから。
−じゃあ、こちらに来ることが決まった瞬間の本音は・・・?
本音を言えば、「マジ?」「どうして?」「やばい」です(笑)。当時僕は41歳、銀行員の次のステップは、パターンから言えば営業店長なんです。それをある程度イメージしていたのに「とりあえず2年間」と当時言われて出向。でもこの2年って銀行員としての将来が決まる極めて大切な時期、だから決して前向きに捉えてはいなかったですね。2年間銀行員のキャリアから外れてしまうわけでしょ?そこから戻ることをイメージすると、明確に結果を出していかないとすっきりした形で帰れない。「現役行員を出す」=「結果を出せ」と自分で感じていたから。だから非常に「やばい、やばい、やばい・・・」と(笑)。でもどうしていいかわからないじゃないですか、経験ないし。

ニーズはどこにあるのか、的確に捉えて方向性を決める

−でもそんな状況で、どのように進めていったんですか?入居者との交流や、あと今は月間100名ほどSOHOしずおかに来ていますが、その方々をどのように巻き込んでいったのか、呼び込む手段等は?
マニュアルはない、ロールモデルもない。更に「好きにやってください」って言われたんです。そこで「前例はどうであれ、こういう施設は本来どうあるべきか」と考えました。また、当時入居している人達が何を希望しているのか、ニーズはどこにあるのかを探したんです。方向性を決めるためにね。そこで入居者に意見を聞いたところ、共通していたのが「人の流れやネットワークが欲しい」ということでした。「それじゃあ、それをここのロビーに作ろう」と。
オープンして2ヶ月目くらいかな、こんなふうに明確なターゲットが決まりました。普通はこの手の施設って、95%以上の施設は入居者のみを対象にサポートしているんです。でも僕はそれはすぐ行き詰ると感じていて、それじゃあ支援の方向性を『中』から『外』に変えよう、起業家や創業を目指す人たちに相談に来てもらうようにしたんです。また、地域の既存の人たちにも来てもらうようにも呼びかけました。何故かと言うと、ここに構築するネットワークというのは仕事が回るネットワーク、『仕事の出し手』を呼ばなければならないじゃないですか。仕事の出し手は誰かというと、もちろん創業者も出し手になるけど、それより可能性があるのは地域の既存の人たちだからです。
−なるほど!発想の転換をしたんですね。

▲月間100名来る相談者との意見交換
でも、周囲の人たちは、恐らくそんなことできっこないと当時は考えていたんじゃないかな?
−なぜですか?
SOHOしずおかの常駐職員は僕だけ。あとは4人の派遣社員。オリジナルの制度もない。人も制度もお金も無くて何ができるの?ってね。でも、勝算はあると思っていたんです
−すごい自信ですね、その根拠は?
銀行員生活18年の中で地域産業の人を見ていて、経営の悩みや課題を抱えていないところは100%ないと分かっていたから。 ところがご質問の通り、世の中そんなうまい話はなくて(笑)。「さぁ、来てください」と言ったところで来るわけがない。『SOHOしずおか』なんて名前もへんてこりんだし、ましてや当時なんて知名度ないし・・・。
−その突破口は?
それは、今でも毎月行っている『ブレークスルーセミナー』。講演会と交流会がセットになっているものを開催したんです。首都圏にはあるのですが、地方都市では起業家や既存の企業の方が一同に介する異業者交流の場は殆どないのです。だからそのような異業者交流の場を構築し、毎月継続実施して人の流れを作る、そして短期的にSOHOしずおかの知名度を上げていこうと思ったんです。 またネットワークを拡大するために。あと、静岡は基本的にすごくおとなしい街だから、そういう活性化したフィールドを作るだけではなく、活性した状況を維持し続ける必要があると考えたのです。 しかし、そうは言っても様々な講演がある中で、人を集めるためにはかなりインパクトある講師を呼ばなければいけない。講師選びには今でもかなりの工夫をしています。知名度が高く、かつ我々が伝えたい強いメッセージを持っている人たち、強い起業家精神を持っている人たちを呼び込ぶために。
−これまでどんな方たちを招いたんですか?
今まで呼んだのはJリーグキャプテンの川淵三郎氏グッドウィルの折口雅博氏ダイエーの林文子氏とかですね。ただ、年間予算はあまりないので使えるお金はわずかしかない、講師をまともに呼べるというのは難しいんです。そこで講師の人にダイレクトにアタックし、熱意を伝えるんです。 また、たとえ無料でも毎月開催するセミナーに参加者を集うのは結構大変なんです。そこでチラシやメルマガで告知したり、新聞社にイベント開催の告知をしてもらったり。あと、過去の参加者に対して直接メールを打つんです。メルマガだと読み飛ばしますよね。でも、例えば「こばたさんへ」と名前を書いて送ると読んでもらえる。毎回200〜300本は書いているかな?

▲毎月開催されているブレークスルーセミナー
−300本ですか!?
手を抜いた瞬間にSOHOしずおかの崩壊がはじまる位の危機感を持ってやっていますから。だから妥協しない。スポーツ選手が地道に筋トレするような勢いでね。

小さなイノベーションは誰にでも起こせる

−どんなに忙しくても熱意を持って行動されていらっしゃりますが、仕事に対する信念は?
銀行員時代に信念を持ってやっていたかは疑問だけど、ここに来てからは明確な信念はあります。いくつかある中で、『挑戦する事は尊い』、『人にはどんな人でも活かすべきもの、活かされるべきものが必ずある』という信念があります。属性条件で切り捨ててしまうような世の中だったりするけど僕はそんなふうには絶対思いたくないんです。あとこれは最近良く使う、ある先生に感化されちゃっているフレーズ『小さなイノベーションは誰にでも起こせる』『小さなイノベーションは積み重なって大きな変革に繋がる』。
馬鹿じゃないかという目で見る人もいるけどね(笑)。こばたさんと出会ったとき、そこまで信念があったか分からないけど(笑)、今は毎日、大マジに思っていますよ。

▲講演会での様子

全てが『スポーツ弁当』から変わった

−私がお会いしたのは2003年ですけど、小出さんはその時からすごく進化されていきましたよね。
そうですね、全ての部分がこばたさんとやった『スポーツ弁当』のプロジェクトから変化したかな。全国区になったのもあのお陰だし。自分たちの自信にも繋がったな。
−ところで私が小出さんと初めてお会いしたのは、先ほどお話に出た夜のセミナーではなく、昼間開催されていたカルチャーセミナーでしたよね。
そうですね。2002年の12月から半年ぐらいやっていたかな。あれは、要は毎月やっているお堅いビジネスセミナーに来ない層にだって面白い人材がいる、という仮定だったんです。こばたさんが申込みの電話をくれた時「スポーツ栄養士」と言ったから強い興味を持った。電話の最後に「必ず僕に声をかけてね」と言ったよね(笑)?
−そうそう!言っていました!
今だってもっと余裕があればやりたいんだけど、幸いなことに今はSOHOしずおかの知名度があがったので、何かやりたいと思っている人はこちらからアクションを起こさなくても来てくれるようになったんです。ただしこれは我々が常に前向きに情報発信しなければ来てくれないんですよ。手を抜いた瞬間に魅力がなくなってしまうんです。

モチベーションが落ちた時、このプロジェクトが終わる

−でも、自分自身のコンディショニングの問題や、精神的に辛いこととか、本当はやらなきゃいけない時にやりたくない時もあると思いますが、そんな時はどうなさっているんですか?
ありますよ!でもSOHOしずおかは来た人のモチベーションを引っ張り上げなきゃいけない所。それには自分のモチベーションを高く維持し続けていないと出来ないんです。実は初期の段階で「自分のモチベーションが落ちた瞬間にこのプロジェクト終わるな」と気付きました。だから落ちている時には無理やりにでも引き上げます。
−どうするんですか?
僕は単純な人間だから単純なことで引きあがるんです(笑)。例えば単純明快な映画やDVDをひたすら見る。「ダイハード」とかね。イヤな役ばかり回ってきてとんでもないトラブルばかり起こって文句言いつつミッション貫徹、みたいなやつ(笑)。
−お忙しい中で、その時間を捻出するのがすごい!
でも最近は見る時間をとるのは難しいから、今やっているのは行き返りのバスの中、ウォークマンで超ポジティブ音楽を聴いている。The Rolling StonesとかQueenの『We Are The Champions』とかね(笑)。これは短時間で済むじゃない。
−そうですね(笑)。ところで、雑務的な部分などは手間がかかって「やりたくないな」という時はありません?
溜め込みますよ、結構。でも銀行の事務作業ほどは複雑なものはないから、そんなにネガティブに引っ張るものではないかな。あ、机の上の書類はどんどん高くなっていきます(笑)。たまにハッと気づいた時に狂ったように書類を整理しますよ。

▲SOHOしずおかでの仕事風景
−いやぁ、良かったです、そういう部分を伺えて(笑)
銀行時代は事務が雑で有名でしたから。「小出君!少しは片付けたら!」みたいなことを新入社員のときから(笑)。変わらないですよ。

栄養士に限らず『既成概念を破る』ことが大切

−それでは少し話題を変えて、栄養士の印象ってどうですか?
栄養士さんのイメージって、白衣着て眼鏡かけて、ネガティブに「これダメ、あれダメ」って感じだったけど、こばたさんは・・・、そうだな。こばたさんがやった「スポーツ弁当」は、僕だけでなくビジネスエリアの人たちも「ただのお弁当が、こんなに付加価値の高いものに生まれ変わってしまった」と言っていて、ポジティブに変革をもたらしてくれた。それって従来の栄養士のイメージと違うじゃないですか。僕自身は一番間近でそれを見させてもらったから、そういう面ではずいぶん印象は変わった。且つ、明らかに僕たちにとっても栄養士さんに対する成功モデルとなっているから、みんな可能性があると提示できる

−ではその“可能性やチャンス”を見つけるためには何を心がければいいのでしょうか?
既成概念を破る』かな。スポーツ弁当って、食品業界全般にあった既成概念を壊したじゃないですか。あるいは管理栄養士さんたちの動き方の中で、積極的に企業と関り商品開発まで提案してPRをし、というようなリードしてしまう姿も。それを破ったからこそ大きな成果に結びついているわけじゃないですか。みんな「そんなことできっこない」とか言ってすぐ自分で枠を作るんですが、その瞬間に可能性の芽を摘んでしまっているんです。やってみなきゃわかんないんですよ。果敢に枠を取っ払うようなチャレンジをするからうまくいくんです。これは栄養士さんの世界に限らないと思います。

守りに入らない理由

−同感ですね。ただ、人は栄冠をつかんだ瞬間から守りに入りがちだと思うんです。でも小出さんはそうじゃない。ジャパンベンチャーアワード※1を受賞されて絶好調なのに、小出さんが守りに入らない理由は?
手を抜いた瞬間に崩壊が始まると先ほど言いましたが、このような姿勢であれば、維持継続できると思うんですよ。それは守りではなくて攻めですよね。あと、僕たちは過剰に期待されている一方、地域活性のロールモデルとしても期待されていますよね。それには勝たなくちゃいけないと思っています。それこそ「絶対負けられない試合がここにある」って意識。
−守りに入った瞬間に下降する、攻撃こそ最大の防御、ですね。
そうですね。間違いないでしょう。あと非常にありがたいことに多くの方が様々なチャンスをくれるじゃないですか。それに対して100%応えたい。あと、これは静岡市の産業支援プロジェクトであって、静岡市の看板を背負っているでしょ。別にそんなこと言われていないけど、そういうことを勝手に意識してやっている。だから頂いたチャンスは、更なる飛躍を目指してチャレンジします

▲講演会で想いを語る小出氏

「静岡のことを宣伝してくれてありがとう」

−それでは今まで、SOHOしずおかでの5年間で、一番嬉しかったことは?
いろいろあるけど、印象深いのは『ジャパンベンチャーアワード2005』を受賞した時、次の日、地元の新聞に大きく載ったんです。そして近所を歩いていたら、いつも行っている床屋のおじさんが店から出てきて「こんなに静岡のことを宣伝してくれてありがとう」と言ってくれたんです。これは賞をもらったことよりも嬉しかったな。こんなに近所の人が喜んでくれるんだ、と。あと印象深いのはやはり、こばたさんとのスポーツ弁当かな。こんなに時間を投下したものはなかったしね。

▲テレビ取材も頻繁!
−ありがとうございます。光栄です。
結果的にSOHOしずおかが大きく転換できた出来事だから、紛れもなく一番印象深いです。あれ(スポーツ弁当)がなかったらSOHOしずおかは違ったものになっていたでしょう。しかも必然性がある偶然がたくさんあったし!すごく感謝しています。もう一度やれといわれると、たぶん出来ないと思うけど(笑)。
−タイミング的にも条件が全て揃っていたんですよね。国体という大きなイベントが来る時期にも乗りましたし。
国体なんて、60年に1回くらいしかこないしね(笑)!そういう面で全ての要素が揃っていましたよね。結果的に売れるにしたって、10日間で3万食売れるイベントなんて来ないもの。
−そうですよね。
うん、すごく手ごたえがあった。とても鮮明に覚えています。

今は『家族』という土台の上に乗っかっています

−小出さんは、朝早くから夜遅くまで働いていらっしゃりますが、体調管理で心がけていること、例えば食事の面とか、休養、運動の面についてお聞かせ下さい。
お昼はいつも買ってくるのですが、必ずサラダを買うようにしています。これは相当意識しています。
−素晴らしい!では、朝と夜は?
自宅で出されるものを食べます。夜は帰ってからだから22時くらいかな。
−お食事は一人でするんですか?
朝は娘と。あ、息子は眠い顔して横に座っていますね(笑)。だから正確には3人、だから『孤食』ではないです。夜は食べていると回りに人はいます。妻だったり子ども達だったり。家にいる時間は短いですから、いるうちはコミュニケーションをとります。向こうがうるさいなってくらいしゃべっているケースが多いかな(笑)。
−運動はしていますか?
はい。この仕事はシャープ感がないといけないと思っていますから。毎朝腹筋50回、腕立て100回。休むのは日曜日だけ。
−あれ?以前娘さんと走っていませんでしたか?
はい。娘が新体操をやっていた頃は走っていました。今は辞めてしまったので、それをいいことに僕も辞めちゃいました(笑)。本当は走った方がいいんですがね・・・。
−でもこんなにお忙しいのに、どうしてそんなに全ての面で頑張れるんですか?
だって僕はママ業ないし、楽なものですよ。 ただ仕事に対する考え方の違うせいだろうと思うけど、銀行の方が楽だったのに、遥かにストレスが高かった。もっと疲れていたな。仕事に対する気持ちが違うとここまで違うの?と言うぐらい変化を感じている。これは自らの意思で選択してやるのか、やらされているのかの違いだね。スポーツ選手の練習とまったく一緒じゃないですか?
−そうですね。ビジネスでもなんでもそうですよね。

▲相談者に対しては、常に的確なアドバイスを送る
銀行員時代は気付きませんでしたよ。銀行員の時は休みの日に喜んで仕事とかありえなかったですもん。だから人生観、職業観、社会観の変革を与えてくれたSOHOしずおかには感謝しています
−いろんな方たちとの出会いで変化した部分もありますけど、でも土台となっている安定したご家庭があって、食事も作っていただいて、家族団欒の時間もあって、そういう部分があるのも大事なんじゃないかなと思います。
これは比較できないし、僕にとってはこれが当たり前になっているから分からないけど、仮に独り身だったら、その中でどこまで出来るかはわからないですね。
−精神的に安定しているんですね。
子ども達や妻はいろんな媒体を通じて僕がやっている事を知っていてくれます。彼ら自身が、特に子どもたちが誇りに思ってくれることが分かるから、僕にとってはすごく嬉しいしありがたい。今、僕を構成する中においては不可欠ですね。この土台の上に乗っかっていますから。

周囲にとってプラスになるような存在に

−最後に、今後起業したいという方や、挑戦しようと思っていない方に対してのメッセージをお願いします。
僕の仕事は起業家をたくさん輩出することがミッションと見えるけど、起業する事が絶対的な価値観とは思わないんです。それより「どういう想いで仕事をするのか」ってことが重要。社会起業家・ソーシャルアントレプレナーの考え方がありますがそれが重要で、職場でただ漫然と仕事をするのではなく、小さなイノベーションは日々起こすことが出来ると認識し取り組む。そのような想いで働いていると、仕事は自分の為だけではなく、周囲や地域社会にとってプラスになるような存在になり、良い働きに繋がるんじゃないかな
−そういう気持ちになるためにはどうしたらいいと思いますか?
何のために働いているのか突き詰めてみるのがいいかもしれません。小さくたって、自分なりのミッションを明確にして取り組めば、自分を感じることができる。起業するにしたってそれが前提ですよね。だから何のきっかけでもいいから、そういうことを一度良く考えてみる必要があると思う。僕は普通のサラリーマンをやりつつ、こういう仕事の中でそこに気づいたからこそ、それが重要とわかるんです。普通の銀行員だってこんなに変われたのだから、栄養士の方、主婦の方だってポジティブに変われると思う。僕たちはそういうお手伝いをしているっていう。自分たちで見つけられなかったら一緒に見つけましょう、そういうことなんだと思う。

▲講演会での様子 
 講演依頼は全国から絶えない
−気付きは最終的には自分で感じるしかないんですよね。
押し付けられて気付くものではないしね。僕たちはお手伝いは出来てもそれ以上はできないから。
−最近気付いたんですけど、自信と言うのは自分を信じる力なんですよね。
そうだと思います。でも自分の実績については素直に自分自身で認めてあげる必要があると思います。スポーツ選手でも、記録を出しているのに自信を持てない人っているじゃないですか。客観的に自分を褒めてあげるのが必要ですよ

チャレンジの先の楽しみを待っていたい

−最後に、小出さんの今後の夢は?
それがわかんないんですよ。人に対してはいろいろ言っているんですけど(笑)。ただ、チャンスをみんながくれるから、それに対して一つ一つチャレンジしていきたい。その結果を出した後、何が来るのか楽しみに待っていたい。ちょっと無責任かな?
−いや、いいと思います。
僕自身どこまで行けるか、それもひとつのチャレンジだと思うんです。それを全うしつつ、この後何が来るのかなって、それが楽しみかな。でもそれには前提があって、何回も言った通り、決して手を抜かずやり続けることです。そうでないと期待している像は見えてこないから。慢心であったり手を抜いたりなんて声があった瞬間、全てが終わってしまいますよ。そんな感じかな?でもわからないですね。みんなにいろいろな、未来を切り開くお手伝いをしているのに自分自身のことになるとからっきしですね(笑)。

▲多くの人が繋がるSOHOしずおか
−今日のお話、とても参考になりました。小出さん、ありがとうございました。
※1:Japan Venture Award・・・創業・ベンチャー国民フォーラム主催、創業やベンチャーにおける次代のロールモデルを提示することを目的とし、
                  新たなビジネスに向かって果敢に挑戦を続け、成功された起業家、起業支援家、また、地域の特色を活かした創業
                  事例や地域に貢献している事業等を地域貢献賞として表彰する。小出氏は起業家の創出と地域活性化に向けた
                  支援活動が高い評価を受け受賞。

編集後記

いつも本当に“熱い”小出さん。でも、その情熱によって、人の心は動かされることが多いのだと思います。
『スポーツ弁当』プロジェクトでは多大なるご協力(伴走してくださって)、本当にありがとうございました。これからも多くの方と共に走り、様々なことにチャレンジし続けてください。きっとその姿が多くの方々の背中を押し、勇気を与えてくれると思いますので…。 
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